パ ウ ロ の 回 心
『ところが、道を急いでダマスコの近くにきたとき、突然、天
から光がさして、彼をめぐり照らした。彼は地に倒れたが、その
時「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と呼びかける
声を聞いた。そこで彼は「主よ、あなたはどなたですか」と尋ね
た。すると答えがあった、「わたしは、あなたが迫害しているイ
エスである」』 (使徒行伝9章4節)
このところはサウロ(後のパウロ)が回心をしたところです。 そして誰でもイエス・キリストを信じて回心したら、神はその人 を素晴らしい人に生まれ変わらせてくださる、ということ
が教えられるのです。
彼は熱心なユダヤ教の信奉者で厳格なパリサイ派に属する人で
した。そしてまたキリスト教の迫害者でした。7章でステパノが
迫害されて石で打ち殺されようとしたときも、サウロはその場に
立ち会っていました。『彼(ステパノ)を市外に引き出して石で
打った。これに立ち会った人たちは、自分の上着を脱いで、サウ
ロという若者の足元に置いた」とあります。
また9章ではダマスコのクリスチャンを捕えるために、その途
上にあったとき、その途上でイエスの幻を見て、彼は今まで自分
のしてきたことの間違いを悟り回心をしたのです。そして「ダマ
スコにいる弟子たちと共に数日間を過ごしてから、ただちに諸会
堂でイエスのことを宣べ伝え、このイエスこそ神の子であると解
きはじめた」(9:20)とあります。回心した人が数日間後に
はイエスのことを宣べ伝えるなんて、驚くような変化です。コリ
ント後書5章17節に『だれでもキリストにあるならば、その人は
新しく造られたものである』とありますが、これがイエス・キリ
ストの救いです。
キリスト教は「生まれ変わる」(新生、ボンアゲイン)の宗教
です。どんな人でもイエス・キリストを信じたら生まれ変わるこ
とができるのです。ピレモン書11章に『彼は以前は、あなたに
とって無益な者であったが、今はあなたにもわたしにも有益な者
となった』とあります。このピレモン書はパウロがピレモンに書
き送った書簡です。こんな個人的な書簡が聖書の聖典のなかに加
えられていることは驚くことです。この書簡の趣旨はピレモンの
奴隷であったオネシモを主人の元に送り返すときに書いたもので
す。
このオネシモはピレモンのところの奴隷でしたが、彼は働くこ
とが嫌いで、主人の元を脱走してローマにいたのです。そこでパ
ウロに出会い、キリスト教に帰依したのです。キリスト教徒にな
ったオネシモは文字通り生まれ変わりました。そしてパウロの伝
道のために一所懸命に働き助けましたので、パウロから「なくて
はならない有益なものとなった」と言われるほどに新生をしたの
です。
そこでパウロは、もともとピレモンの奴隷ですから、主人のも
とに送り返すのがいいと考え、この書簡をもたせて帰したのです。
この書簡のなかに、「彼は以前は、あなたにとっても無益であっ
たが、今はあなたにもわたしにも有益なものとなった」とありま
すが、オネシモのように無益、いや有害なものでも、なくてなら
ない有益なものに変えてくださるのが福音です。
パウロの回心は「紀元前と紀元後」の変化といわれるほどの
典型的な回心でした。そして、キリスト教のために著しく貢献を
しました。その一つは、イエスの教えを彼の書簡(ローマ書から
ピレモン書)によって教理的に体系づけたといわれています。そ
して、もう一つの貢献は、パウロの異邦人(外国人)伝道です。
彼は異邦人伝道に使命を感じ、都合三回も海外伝道で外国に
福音を宣べ伝えたのです。これは神の摂理でした。もしパウロ
による外国伝道がなければ、そしてキリストの福音を異邦人世
界に宣べ伝えなかったら、キリスト教もどうなっていたかわか
りません。それは西暦70年のエルサレムはローマ軍に攻撃され
て陥落し壊滅的な打撃を受けたのです。そして多くの民は殺さ
れ、あるものは奴隷にされたのです。またエルサレムから脱出
したものたちは、離散の民(ディアスポラ)として世界中に散
らされていきました。(ヨセフスの歴史書には「市内は破壊さ
れ、死者は335万人、捕虜は9万7千人」とあります)。
しかし、パウロによって宣べ伝えられた福音はローマにまで
達して広まり、西暦313年にはローマ皇帝コンスタンチヌス
のときに「ミラノの寛容令」によって受け入れられ、392年
に皇帝テオドシウスのときにローマ帝国の「国教」となったの
です。そしてキリスト教の福音が全世界に宣べ伝えられて今日
の世界宗教となりました。
キリスト教の迫害者がイエスの幻に出会ったときに、彼は生
まれ代わり世界宣教の大きな使命を負うものに用いられたので
す。神のご計画と働きは素晴らしいものです。ですからわたし
たちもどんなときにも、神を信じて行きたいものです。
(July,08,2012)
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